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2011年6月18日
ドコモ版iPhoneは出ない たぶん出ないと思う 出ないんじゃないかな
まちょっと覚悟は(ry
なんてことをドコモ社長が株主総会でコメントした件で、ニュースサイトがにぎやかしく「ドコモ、iPhoneを断念」との報が駆け巡った昨日17日ですが。
まず最初に、この株主総会中にドコモ首脳部である山田社長・辻村副社長両名がドコモ版iPhone発売の可能性ありやなしやを問われて曰く、
iPhoneの販売について、辻村清行代表取締役副社長が回答。「アップルが発売しているiPhoneやiPadは、世界的に売れており、ユーザーインターフェイスに優れた端末だと認識している」と前置きしながらも、「NTTドコモは、iPhoneを発売する予定はない」と断言した。
その理由として辻村副社長は、「ドコモには、約5000万人のiモード利用者がいるが、おサイフケータイ、iチャネル、iコンシェルといった機能をスマートフォンでも利用したいというユーザーが多い。ドコモにとって、いかにこれを広げていくかが大事である。しかしアップルの場合は、この機能を加えることができない。一方で、Androidを搭載したスマートフォンは、既存のiモードサービスを乗せることができる。5000万人のiモードユーザーが、気持ちよくスマートフォンを使っていただくために、ドコモはAndroidをベースにやっていく」と語った。
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20110617_453942.html
NTTドコモ、株主総会で「iPhoneの発売はない」と断言 - ケータイ Watch
「発売する予定はない」のはずっと前からだし、その意味では従来の見解を繰り返したと見てよいコメントだが、折に触れてドコモはiPhone/iPad発売に向けた意気込みを公言し隠そうとすらしなかったように、発売に向けた見込みは厳しいが意欲はあるという姿勢を崩してはいなかった。
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20090730_306024.html
ドコモ、第1四半期減収減益も計画進捗は順調 - ケータイ Watch
すなわち、この従来の姿勢から一見踏み込んだように見えるこのコメントをどう解釈するかがポイントになるのだが、
http://www.nikkei.com/tech/personal/article/g=96958A88889DE3E2E4E4EBE7E2E2E2EAE2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2%3Bp=9694E3EAE3E0E0E2E2EBE0E4E2E6
アップル「iPad」にNTTドコモがラブコールを贈る理由 :日本経済新聞
この日経記事のライターである石川温氏(@iskw226)のツイートが今回の株主総会での社長発言を伝える一次ソース(の一つ)として広まっていったようである。
株主からの質問「ドコモからiPhoneを発売するのか?」。ドコモ辻村副社長「iモードユーザーがスマートフォンに移行している。5000万のiモードユーザーが気持ちよくスマートフォンを使ってもらうためにはAndroidになる。iPhoneを導入する予定はない」
続けて石川氏は「アップルとの交渉は打ち切られたのでは」との見解を発している。これは推測だが、その場の語調としては確かにドコモが断念したかのような、そう思わせるような何かがあったものかもしれない。
ちなみにこれを受けてと思われる、同じく総会に臨席していたライターの石野純也(@june_ya)氏がこのようなコメントをのせている。
ドコモ辻村氏、現在のところiPhoneを販売する予定はない。ここまで言い切ったのは初めてかな。
「ここまで言い切ったのは初めて」と、彼もそのように述べている。やはりそこの「ニュアンス」はこれまでとやや違うことを感じ取ったようだ。
この後、gigazineを皮切りに、速報系ブログからwebニュース、個人まとめブログなど、サイト硬軟を問わず様々な場でこの一件がやり取りされることになる。
その後石川氏は追加取材を行った。「iPhoneを導入する予定はない」としたコメントのウラを取りに行ったものと思われる。「ニュアンス」だけで判断することの危険性を考えれば当然の行動だ。するとここではほぼ否定のコメント、すなわち見込みは厳しいが意欲はある姿勢は継続したままであることを引き出したのである。
ドコモ株主総会での「iPhoneの導入はない」発言について、先ほど、山田社長、辻村副社長に聞いてみました。すると「"現時点"という言葉が抜けていた」(辻村副社長)、「スタンスは従来と変わっていない」(山田社長)とのことでした。
もともとドコモとしてもこの交渉がかなりの難事業であることは認めていて、勝ち目のうすいことはハナから覚悟していた節はある。というか、外部からの伝聞を元に意思決定しているようなことを口外してはばからず、それをもとに一喜一憂揺れ動く乙女心に様式美を漂わせつつあったところで、「負け戦」の覚悟が無ければただいいだけ踊らされた阿呆だったわけであります。そもそも「ノーコメント」で通して良かったところを無駄に口を開けてしまって墓穴を掘り続け、招かなくても良い展開を自ら呼び込んでしまったのであって、このドコモ首脳部の一貫した口の軽さと認識の甘さは、どうあがいても失敗の誹りを免れないだろう。
しかし今回の件より深刻なのは、この報道を扱った各種メディアの姿勢である。twitterの普及は、従来以上に情報のリアルタイム性を増すこととなった。今我々は、「これは」と思わせる事象は即座に取り出され、全世界に発信されてしまう社会を迎えている。しかし事象には必ず文脈があり、類似する並行事例がある。そこに基づいて正当な価値を付加し、正誤や軽重を判断し流通可能な「情報」として加工するためにどうしても必要な「時間」と「手間」がある。今回、この一件においてそれらが全く機能せず、最初の精査どころか「現時点では」すらそぎ落とされ、「ドコモが正式にiPhoneを断念した」とされてしまった。内容としては全く従来と変わらなかったのに、である。
こうしたコメントのニュアンスを十分にコントロールできなかったドコモ首脳部の失敗性向は終始一貫しており、その点で批判を免れ得ないことは何度でも重ねて指摘しておく。しかしその一方、事象を情報へと精錬する過程の間にかなりの予断と憶測と期待(おそらく、「ドコモがiPhoneを諦めてくれたほうがいい」と考える人は相当に多かったものと思われる)が入り込み、最終的に判断できる状態になる前に「本来の意図とは180度異なる」情報が出回ってしまったことへは、より深刻な認識が必要ではないだろうか。おそらく未決事項の秘匿性をことのほか重要視するAppleのこと、このような交渉下手を繰り返すドコモをこれ以上相手にすることはないだろうとする見立てには十分すぎるほどの合理性があろうし、これにより決定的かつ最終的に、iPhone導入の道筋は絶たれたとしても不思議はない。そしてその場合、ドコモに引導を渡したのはニュースメディアということになるわけだから。
もしこれでも「なぁに、ドコモからiPhoneなんて出っこないんだし、結果として同じことじゃないか」と言う向きがあるかもしれない。結果として同じなら報道内容が異なってもかまわない?そうか。ありもしない事実をでっち上げられ、結果としてその方向に向かわされることで、立ち会わなくても良かったはずの災厄を招いた事例がどれだけあったか、それらは全く大したことがないか。そうか。
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